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映画「おかえり、はやぶさ」感想




おかえり、はやぶさ

 「おかえり、はやぶさ」は「宇宙体感の3Dで贈る、機械と人の冒険の旅」をキャッチコピーに制作された映画で、映画大手3社(20世紀フォックス・東映・松竹)の競作の3番目の作品です。それまでの2作と異なり、3Dで制作されたことが大きな特徴です。

監督は『釣りバカ日誌』シリーズや「ゲゲゲの鬼太郎」などで知られる本木克英監督が手掛け、出演は藤原竜也、杏、三浦友和さんらが演じました。

他の2作が実際の登場人物を元に脚本を書いていることに対して、松竹版の「はやぶさ」は父と子、家族の絆というフィクションの物語をうまく「はやぶさ」のプロジェクトに絡ませている家族ドラマに仕上げている事で、先行した2作との差別化を出している事が特徴です。

「おかえり、はやぶさ」概要

2003年5月9日。“小惑星イトカワのカケラを拾って地球に持ち帰る”という、成功すれば人類初の快挙となるミッションを帯びて、鹿児島県内之浦から、小惑星探査機“はやぶさ”が打ち上げられた。このプロジェクトには、プロジェクトマネージャーの江本智彦(大杉漣)のもと、若手スタッフとしてエンジニア助手の大橋健人(藤原竜也)、新人理学博士の野村奈緒子(杏)らも参加していた。

同年12月。“はやぶさ”が順調な航行を始めた頃、打ち上げから5年半を経過した火星探査機“のぞみ”が、度重なるトラブルと故障のため、プロジェクトを終了。火星に辿り着くことなく宇宙に消えた。プロジェクトマネージャーだった健人の父・伊佐夫(三浦友和)は、税金を無駄にしたと、非難の矢面に立たされる。

打ち上げから2年。いつの間にか“はやぶさ”は、宇宙に夢を抱く人々が願いを託す存在となっていた。健人の同僚、大吾(田中直樹)の息子・風也(前田旺志郎)も、母・多美(森口瑶子)の病気の回復を“はやぶさ”プロジェクトの成功に託していた。そんな風也を励ます健人の悩みは、父のこと。人生の大半を“のぞみ”に賭けてきた父は引退し、自分を責め続けていた。世間との関わりを避けて、同じ道を進む息子の健人にさえ心を開こうとしない……。

2005年11月。イトカワ付近に到着した“はやぶさ”だったが、姿勢を崩して不時着。リスクを冒して2回目のタッチダウンに挑み、見事成功させる。さらに、燃料漏れや通信途絶といった度重なるトラブルを、チームワークとアイデアで奇跡的に乗り越え、“はやぶさ”は地球を目指す。その奇跡は、“はやぶさ”を見守る人々にもそれぞれの形で広がっていく。伊佐夫は社会復帰を決意、奈緒子からの講演会の依頼を引き受ける。多美の手術も成功。そして、2010年6月13日。ボロボロになりながら懸命に飛んだ“はやぶさ”は、ついに地球へ辿り着く……。 【キネマ旬報データベースより】

映画の感想

この映画も映画館ではなく、Blu-ray版で見たので3D版ではありませんでしたが、それでもCGを駆使して書かれた「はやぶさ」が極めて美しく描かれていることに驚きました。「はやぶさ」が宇宙を漂うシーンなどはまさに圧巻の一言です。

しかし特筆すべきはやはり、成功した「はやぶさ」だけでなく失敗したはずの「のぞみ」が成功への礎となっていることを、国民にわかり易く訴えている物語のメッセージにあると思います。「成功とは、意欲を失わずに失敗に次ぐ 失敗を繰り返すこと」など、映画にちりばめられたメッセージには心に響くものがありました。

冒頭のシーンでは、「ハヤブサが宇宙に行っても、国民の生活が変わないんだったら、国家予算を福祉や教育にまわせ」と言う台詞を少年に言わせているシーンがありますが、こういった一部の大人が言いそうな現実的な発想を子供に言わせる事で、対比した子供達には夢と希望を持って欲しいといったメッセージを映画全体から発することを、より明確にしていました。子どもたちには大きな夢を持たせてあげたいと思いました。

映画には又、病気の母親を持つ少年が出てくるのですが、その母の病状の変化と「はやぶさ」の困難の数々を重ね合わせる演出があります。この子供が大切な母を心配に想う気持ちや、早く回復して欲しいとの願いが、「はやぶさ」開発スタッフの「はやぶさ」に対しての気持ちとうまく重なるのです。これが「はやぶさ」を機械の塊から、あたかも魂が宿った生命体のように感じさせているのです。

藤原竜也さんと三浦友和さんの、親子2代に渡る挑戦と、心の葛藤や絆の強さ最後まで感じられ、夢のある終わり方が他の2作とは全く異なる意味で素晴らしい作品に仕上がっていました。

この映画が伝えようとしている、「希望を持って生きよう」「失敗を恐れずに挑戦しよう」との励ましのメッセージが、今の子供達だけではく今の大人達へも胸に響く、見終わった後にそう感じられた、家族全員で楽しめる見事な作品でした。
おかえり、はやぶさ

 

登場人物

大橋健人 – 藤原竜也: JAXAエンジニア助手。

野村奈緒子 – 杏: 新人理学博士。

大橋伊佐夫 – 三浦友和: 健人の父。火星探査機「のぞみ」プロジェクトマネージャー。

岩松風也 – 前田旺志郎: 母・多美の病気からの回復を「はやぶさ」に託す。

岩松多美 – 森口瑤子: 風也の母。

岩松大吾 – 田中直樹: 健人の同僚。多美の夫で風也の父。

天野克也 – カンニング竹山: 臼田観測所職員。

山田幸一 – 豊原功補: イオンエンジン・チームリーダー。

大橋小夜子 – 宮崎美子: 伊佐夫の妻。

江本智彦 – 大杉漣: 「はやぶさ」プロジェクトマネージャー。

増沢公孝 – 中村梅雀: JAXA対外協力室長。

文部科学大臣 – 岸本加世子

映画製作スタッフ

監督: 本木克英

プロデューサー: 田村健一、野地千秋、三好英明

製作総指揮: 迫本淳一

ラインプロデューサー: 小松次郎、山田彰久

脚本: 金子ありさ

撮影: 藤澤順一

美術: 西村貴志

編集: 川瀬功

音楽: 冨田勲

VFXスーパーバイザー: 村上優悦