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映画「はやぶさ/HAYABUSA」感想




hayabusa

  小惑星探査機「はやぶさ」の帰還を受けて、映画大手3社が相次いで「はやぶさ」を題材とした実写映画を制作しましたが、本作はその第1弾となった作品です。「はやぶさ」を題材とした映画は他に『はやぶさ 遥かなる帰還』、『おかえり、はやぶさ』が製作されています。

当時、国際宇宙ステーションに滞在していた宇宙飛行士である古川聡を最初の観客として、「史上初の宇宙試写会」という触れ込みの元、衛星回線を使用して本作の試写会を行うという話題作りが行われました。公開初日3日間で興収1億280万2,800円、動員9万5,351人になり映画観客動員ランキングで初登場第5位となるほど話題を読んだ作品でした。

「はやぶさ/HAYABUSA」概要

『20世紀少年』シリーズの堤幸彦監督が、竹内結子、西田敏行ら豪華キャストを迎えて、 小惑星探査機はやぶさの7年間にわたる軌跡を映画化したものです。JAXA(宇宙航空研究開発機構)の全面協力のもと、最新鋭の特撮を用いて超リアルな宇宙映像が 再現されています。スタジオでの撮影の他にも、JAXA相模原キャンパスや、はやぶさが持ち帰ったカプセルが着陸したオーストラリアのウーメラ砂漠、NASAの施設などで撮影が行なわれました。

映画は「はやぶさ」を陰で支えたプロジェクトチームの7年間の苦闘を中心に描かれています。物語の原案になっているのは、JAXAの女性職員がはやぶさ運営中に描いた『はやぶさくんの冒険日記』で、現在は単行本として読む事ができます。

惑星探査プロジェクトが進行する中で、西田さん演じる的場渉外室長が広報活動で講演をしているところから、映画の物語は始まります。この講演の聴衆の中で熱心にメモを取る女性が竹内結子さんが演じる水沢恵です。講演後帰ろうとする的場を捕まえて質問をぶつたことがきっかけになり、水沢は宇宙科学研究所に誘われることになります。

映画はこの水沢恵の視点で語られます。広報として子供たちに説明をする水沢は、子供たちに分かりやすい説明の必要を感じ 、「はやぶさ」をキャラクター化して説明する絵本を作り始めます。はやぶさ自身を男の子に見立て、水沢恵の声で、その様子が伝えられます。

映画の感想

擬人化された「はやぶさ」の演出と、西田敏行さんや竹内結子さん達キャスト陣が見せる迫真の演技が素晴らしく、感動のるつぼに誘われます。全体的に宇宙の開発に携わる人たちの熱い思いが、映像からひしひし伝わってくる素晴らしいものに仕上っており、時おり字幕を入れながら補足が入っていることで、宇宙に疎い者にもよくわかる作りになっていました。140分の作品内に、様々な人々の思いや夢・熱意・知恵と工夫が凝縮されていて密度の濃い内容でした。

「はやぶさ」自身が声を発することにより、キャストとしての役割を持たせることで、 よりわかりやすく親近感のある描き方をしています。この擬人化する演出には賛否両論があるかもしれませんが、何より子供達が興味を抱き、難解なプロジェクトを身近に感じることができたのであれば、これは大きく評価される点だと思います。この映画を観た子供達が宇宙や科学への興味を持つきっかけになり、将来の日本を担う科学者の夢へと繋がるのであれば素晴らしいことです。

この映画には、「はやぶさ」とそれを支える人々への尊敬の念があります。水沢恵という架空の人物の目を通してみえるのは、日本における科学者が置かれた現状であり、貧乏な日本の宇宙開発事業の現状であり、それでもあきらめない科学者達への情熱と努力の姿です。「失敗ではなくて成果だ」「長いプロジェクトでは、必ず結末を見届けられない人間が出てくる」「自分の研究の成果を必ず見たい、なんて思っていたら、科学者にはなれない」映画の中で出て来る台詞ですが、研究に生涯を捧げ続けてきた大勢の科学者たち一人一人が同じ道を切り開いてきた仲間であり、そんな一人一人の希望と献身の積み重ねが「はやぶさ」の偉業に結びついているのだと考えさせられました。

最後のエンドロールに流れてくる、日本の宇宙探索の先人たちへ敬意にも感動しました。長い歴史上にはこんなにも打ち上げられていたことを驚くとともに、今まで自分が何も知らなかった事を自覚させられました。また、日本にはこんなすごい人たちがいるのだと誇らしく思いました。

hayabusa_staff

 

キャストの元になっているJAXAスタッフ

 的場泰弘 (西田敏行)
対外協力室室長・教授の的川泰宣がモデル。
http://hayabusa.jaxa.jp/message/message_051.html

 

坂上健一 (髙嶋政宏)
招聘(しょうへい)研究員の齋藤潤がモデル。
http://www.jaxa.jp/article/special/hayabusa/saito_j.html

 

川渕幸一 (佐野史郎)
プロジェクトマネージャー。川口淳一郎がモデル。
http://www.jaxa.jp/article/special/hayabusa/kawaguchi_j.html

 

田嶋学 (山本耕史)
宇宙科学研究所固体惑星研究系准教授・矢野創がモデル。
http://www.jaxa.jp/article/special/hayabusa/yano_j.html

 

喜多修 (鶴見辰吾)
宇宙科学研究所宇宙輸送工学研究系教授・國中均がモデル。
http://www.jaxa.jp/article/special/hayabusa/kuninaka_j.html

 

映画制作スタッフ

監督:   堤幸彦

脚本:   白崎博史 井上潔

製作:   井上潔

製作総指揮:   玉江唯

音楽:   長谷部徹

撮影:   唐沢悟

編集:   伊藤伸行

製作会社:  「はやぶさ/HAYABUSA」フィルムパートナーズ

配給:   20世紀フォックス映画