≡ Menu

HAYABUSA BACK TO THE EARTH 感想




hayabusa

「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」帰還バージョンは、2009年に公開された「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」を本編はほぼそのままに、ラストの大気圏突入シーンを新たに描き起こしたものです。2010年6月13日にはやぶさが帰還し、オーストラリアでその帰還を目撃した上坂監督が「真実の姿により近づけたい」という想いを乗せて、新たなシーンを追加して完成させたものです。

DVD/Blu-ray版にはさらに、一部のプラネタリウムで放映されていたショートバージョンや、ナレーション・EDテーマを歌った歌手・JAXAの川口さんのインタビューや、はやぶさ帰還の実際の映像などの特典が入っています。

私の個人的な意見ですが、「はやぶさ」関連の映像の中でこの一本は絶対に見逃せない作品です。「はやぶさ」が世間で騒がれ始める前からこの作品は完成されていました。上映時間は45分と少々短く感じられますが、内容は他のどの作品よりも詰まっています。

公式サイトより本編のあらすじ

2003年5月。日本は小惑星探査機「はやぶさ」を打ち上げた。その使命は、小惑星に着陸し石を採取して地球に持ち帰ること。この人類史上初の試みを達成するべく、「はやぶさ」は目的地「小惑星イトカワ」に向け長い旅にでた。

「はやぶさ」が持ち帰ろうとしている小惑星の石は、太陽系誕生の秘密をとくカギを握っている。地球が、そして太陽系が誕生したのは46億年前。だが、その時代の石は、地球には存在しない。一方、小惑星には太陽系誕生時の記録が残っていると考えられているためだ。

20億kmの旅のすえ、2005年11月、「はやぶさ」はいよいよ「イトカワ」への着陸を敢行した。しかし、未知の世界への着陸は思い通りにはいかない。

機体にもダメージの疑いが・・・しかし、このままで地球に帰るわけにはいかない。態勢を立て直し、2度目の着陸に挑戦。成功したかに見えた直後、「はやぶさ」を最大の危機が襲う。

「はやぶさ」は2010年、無事に地球帰還を果たせるのか。数々の困難に立ち向かい、太陽系誕生の謎をさぐる「はやぶさ」の波乱と感動に満ちた探検の旅が、 臨場感あふれるCGでドームいっぱいに広がります。(公式サイトより)

 

 

上坂浩光監督からのメッセージ

上坂監督がインタビューなどで語られたメッセージを読むと、この作品に監督が掛ける熱い想いが感じられます。異なるインタビューからの抜粋ですが、そのひとつひとつが胸にぐっと来るメッセージです。

「僕のテーマとしては、もちろんはやぶさのミッションを紹介するのは大事なことなんですけど、その向こう側に、“はやぶさは機械なのに何で生き物として感じるのか?” つまりそれは、“生命って何なんだろう?”っていう問いかけでもあって、“宇宙の中の僕たちの存在って何なんだろう?”というのを描きたかったんです。」

「『はやぶさ』は工学的・理学的な成果をたくさんあげたけれど、それ以上に、『はやぶさ』を応援していた皆さんとの間に大事なものを残してくれたと思っています。作品を見てそんなことを感じていただければ嬉しい」

「作品は、作っただけでは完結しない。それを観る人がいること、そして作品に込めたメッセージのいくばくかが、観ていただいた方の心に届いてこそ、初めて「作品を作った」と言えると思っている」

「普通、エンディングを描く時は、未来がどうなるか分からないところをぼかして描くのが普通だと思うんですけども。もし、結果が違ってしまうと、映画を作り替えなきゃ行けないことにもなりかねないので。でも僕は還ってくると信じていたので、作品性を出す上でも、地球に還ってきて燃え尽きてしまうというシーンをぜひ入れたかったっていうのもありますね。」

「あきらめないとか、信じるということはすごく大事なことだと思いますね。はやぶさは一時音信不通になったり、地球からコントロールできなくなったり、いろんなことがあったんですけど、人が信念を持ってあきらめない、信じるっていうことの強さが、きっとはやぶさを地球に還してくれたんじゃないかなって思いますね。」

「この映画は、あなたとはやぶさの物語です。だから是非はやぶさと共に地球を飛び立って、地球の外から見る地球を感じてもらったり、宇宙を感じてもらったりしていただければ嬉しいなと思います。はやぶさ自身はオーストラリアに落下して燃え尽きてしまったけれども、それでも私たちに届けてくれたもの、残してくれたものを感じていただけたら大変嬉しく思います。」 

上坂浩光監督は、CGアーティストであり又、CGプロダクション有限会社ライブの代表取締役でもあります。プログラマー、リモート天文台を持つアマチュア天体写真家としても有名で、撮影した天体写真が天文ガイド「星ナビ」で数多く受賞しているとのことです。

 

「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH – 帰還バージョン」の感想

全編CG というのが信じられないと言うくらいに、完成度の高い作品です。私はブルーレイで見ましたが、機会があれば是非プラネタリウムの全天周映像版を見たいと思います。「はやぶさ」が“擬人化”されて描写され、映画が終わる頃には「はやぶさ」に愛おしさが感じられるほどでした。擬人化されているだけに、宇宙空間に一人漂う「はやぶさ」の孤独と頑張りをより身近に感じる事ができます。

「はやぶさ」の7年の軌跡が判り易く描かれているだけでなく、宇宙の神秘性や人間の宇宙への探究心がくすぐられるような作品に仕上がっています。人類史上初めてのミッションに挑戦し、みごとに“帰還” を成し遂げた「はやぶさ」の姿勢に日本人で良かったと、誇りにすら思えました。

映像の中では「はやぶさ」ミッションの意義や科学的成果もきちんと紹介されています。イオンエンジンやスイングバイ航法、太陽系の資源を探る小惑星探査の意義や、イトカワの物質が隕石と似ていることなど、重要な内容を子供でもわかりやすく、興味がそそられる様に解説されていました。

このブルーレイ版を見る前に、監督が実際にオーストラリアのウーメラ砂漠で「はやぶさ」の帰還を見られたと聞いていたので、ラストショットがどのように描かれているのかが楽しみでした。詳しく書くことはできませんが、最後の瞬間、エンディングは本当に感動して涙が溢れました。

「生まれ故郷の地球の姿をはやぶさに見せてやりたい」という思いから、「はやぶさ」から観た「地球」の写真を撮らせる最後の追加のミッション。「はやぶさ」に関わったスタッフの最後のお別れの挨拶だったのだと思います。

この映画を見終わってからもしばらくの間は、素晴らしさと寂しさの双方の想いが続きました。「はやぶさ」にここまで感動させられるのは、長い年月を何度も危機にあいながらもついに役目を果たし、困難を超えて地球に帰り、偉業を果たしながらも最後は燃え尽きてなくなるという、その姿にあるのではないかと思います。

この姿を現代の日本に重ねる事で、多くの日本人は感動させられたのではないでしょうか。

「帰還バージョン」は、「第52回科学技術映像祭」科学技術教養部門を受賞するなど、多くの賞を受賞したとのことです。この作品を見ればその理由が納得できると思います。

Hayabusa

DVD/Blu-ray版 内容紹介

小惑星探査機“はやぶさ”の旅を描いた大人気のプラネタリウム番組「HAYABUSA -BACK TO THE EARTH – 帰還バージョン」のロング(約45分)、ショート(約28分)、特別インタビュー、帰還ドキュメント、特典画像などを収録。

本作品は、2011年5月より角川映画配給で全国の劇場にて公開され、第52回科学技術映像祭において「文部科学大臣賞」を受賞、映文連アワード2011において最優秀作品賞(グランプリ)を受賞いたしました。

高精細で色彩豊かな映像を是非お楽しみください。

収録内容

帰還バージョンDC(ディレクターズカット)版.

ロング(日本語、英語 各約45分)/ショート(日本語、英語 各約28分)

篠田三郎さん、Chieさん、川口淳一郎教授 インタビュー(約19分)

オーストラリア帰還ドキュメント「はやぶさ 最後の光」(約13分)

トレーラー(約2分)

特典画像集(ポスター画像7点・本編静止画像12点)

 

スタッフ

監督・シナリオ・絵コンテ
:上坂浩光

総合プロデューサー
:飯山青海

プロデューサー
:上坂浩光、田部一志

シナリオ
:高畠規子

CG制作
:(有)ライブ、 畑間隆幸 伊東整、日高 肇、執行正義、下山田和弘 他…

音楽プロデューサー:
安念渡馬

作曲
:酒井義久

音楽録音:
小幡幹男

ミキシング:
前島慶太

音響効果
:山内 悟

曲
「宙よ」

作詞:上坂浩光 
作曲:酒井義久 
歌:Chie Umezawa

制作プロダクション
有限会社 ライブ

企画/制作
「はやぶさ」大型映像制作委員会、(財)大阪科学振興協会、(独)宇宙航空研究開発機構 JAXA、(有)ライブ、(株)リブラ